直江津のお花見

五智の八重桜は4月の末から5月の初め頃に、華やかに満ちて咲く。


それぞれの花の下に、子供を肩車した家族連れやご年配のマダム達、笑顔のカップル、女友達。群れることなく自分たちじかんのお花見を楽しむ。

国分寺の神輿の掛け声が、春風にのって聞こえてくる。。。

居多神社

越後一ノ宮であり鎌倉時代の木造狛犬、片葉葦など見どころも多い居多神社は、
いつからか縁結びのご利益があると言われている。

片思い中の友達と毎年初詣に通って、彼女はめでたく嫁いでいった。

ご縁を願う方はぜひ!

手水の龍も辰年の運気をあげてくれそうないい表情。

八幡のポン太

八幡神社の裏に佇むたぬき像、八幡のポン太。夜になると木の葉のお金を持って安国寺通りの呑み屋に行くという伝説がある。

ある朝ちっさいポン太が不在のようで、飲みつぶれてると思いきや、伸びた草の影からいたずらっぽい目が覗いていた。八幡のポン太は今日も元気に此処にいる。

直江津の一年の節目は、盆や正月よりも直江津祇園祭の4日間。

コロナ禍で縮小開催や参拝のみだった3年間を超えて、いよいよ今年は19町内が待ちに待った、完全復活の直江津祇園祭!

夜空と花火と高張提灯の麗しい景色にきっと胸が熱くなる。

五智の八重桜

ソメイヨシノの華やかな観桜会が終わると、五智の八重桜の開花が始まる。

観光の場ではなく、日常のお花見。

大きな花は直江津の元気な女しょのようだ。

八重桜が盛りを過ぎると五智国分寺の祭り。

五月晴れに神輿の掛け声が響く。

古きよき直江津の雁木

この通りを歩くたびに、古きよき直江津に思いを馳せる。

切妻屋根の見事なお屋敷と雁木通りは雪が積もると昔ながらの風情。

数年前にはこの先にあづま湯と駄菓子屋があった。

角巻の親子が寄り添い歩く姿が浮かぶ。

五智国分寺の思い出

460年前に上杉謙信が現在の場所に興した五智国分寺。

二体の仁王像に一礼して参道を行けば、右に三重塔。

秋の紅葉も見事で、いつの時代も人々が敬うお寺であった事が伝わる景色。

トコロテンのお店も子供達のお楽しみだった。

直江津祇園祭神輿船

祭りの迎え花火と荒川橋のお囃子から直江津の夏が始まる。

祭りの4日間が過ぎ去り、町は静かな夏休み。

蝉の声と、海辺に向かう子供たちの笑い声と、何処かの軒先の風鈴の音が心地よい。

直江津レールパーク

直江津レールパーク

直江津駅に、SLが夢を運んでやって来た。

子供達は大きな黒い車体に目を見張る。
鳴り響く汽笛に驚いて泣きべそ顔の小さい子も、、、。

SLがかつて日常だった世代は、昔の情景に想いを馳せる。過去から未来へ線路は続く、どこまでも。

直江津の昔を知る友人が、懐かしそうに話してくれる思い出のひとつ、
イカヤのクリスマスパーティー。

「その年いちばんのおめかしで出かけたのよ」と・・・。

それはきっと初雪のホワイトクリスマス。
洋館建築のシルエットは無我夢中で仕事をこなし、出逢いにときめく世代の昭和の夢物語。

令和にこの建物があったらなぁと思う、今日この頃・・・。

直江津は湊町だ。

昔からたくさんの船が行き来したと聞く。

海に向かって、高台に建つ夷稲荷。

その歴史は不明で、個人が建てたのかもしれない。

時には、海を背にした祠の隙間から、海を渡る大きな船が見える。

鉛色の空の荒れた日本海だとしたら、航海の無事を祈るだろう。

まちなかさんぽでここに至るのは、大抵穏やかな青空の凪の日なのだけれど。。。

林覚寺の小路

直江津は砂山の上にできた町だといわれている。その昔、砂山区という住所もあったそうな。
林覚寺の小路は、浜写真館の通りを海に向かうと、ふいに左側に現れる。
その小さな石段を上るとご褒美のように林覚寺の掲示板がありがたいことばをくれるのだ。
そして見渡せば、そこは二段坂の坂上。
砂山のてっぺんだったんだね!と右に下りれば日本海の砂浜が見える…。

高田公園の観桜会が終わる頃が五智の八重桜の開花の季節。

ポンポンと八重の花が咲き誇ると、185年間五智国分寺の山門で睨みを効かせている仁王像も、華やかな表情に見えてくる。

やがて満開の八重桜に彩られて、祭りの神輿が練り歩き、五智の里も春のはじまりはじまり…

初冬の青空に、改修された八坂神社の屋根が緑青色に輝く。

2020年は直江津人の心晴れの四日間、祇園祭も中止になり、たとえば参道の居酒屋などに寄ってのほろ酔いのお参りも少なくなってしまった。

わっしょいよいやさの消えた町はモノクロの世界。。だけどどっこい空を見上げてがんばろうぞ!

参道で振り向けば八坂神社は大らかにほほえんでいるかのようだ。

ライオン像の建物

子どもの頃、ライオン像が怖かった。前を通るときはなるべく見ないように。。
米山の向こうから大八車で運ばれてきたライオン像は、苦難を越えてきたようで、しょっぱい匂いの浜風の叫びが子供心に怖さをあおった。

けれども大人になって眺めると、穏やかな獅子なのだ。
優しい石の瞳は、今までも、これからも、この町の人々を見守っていくだろう。

絵・文:ひぐち キミヨ

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